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山口地方裁判所 昭和50年(わ)80号 判決

本店の所在地

山口県下松市大字平田三八七番地の一

法人の名称

金井金属工業株式会社

代表者代表取締役社長

金井義光

本籍

山口県下松市大字平田三八七番地の一

住居

右同所

会社役員

金井一成

昭和一三年九月二二日生

右被告人会社金井金属工業株式会社ならびに被告人金井一成に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官大霜兼之出席のうえ審理を終え、次のとおり判決する。

主文

被告人会社金井金属工業株式会社を罰金六〇〇万円に、被告人金井一成を懲役六月に各処する。

被告人金井一成に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事由)

被告人会社金井金属工業株式会社(代表取締役金井義光)は、山口県下松市大字平田三八七番地の一に事業所を置き、一般鋼材販売等の業務を営むもの、被告人金井一成は、被告人会社の専務取締役として被告人会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人金井一成は、右金井義光及び同社常務取締役金井貞子と共謀のうえ、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和四七年一一月一日から同四八年一〇月三一日までの事業年度において、課税標準額が一億三、七〇八万一、二二二円で、これに対する法人税額は、四、七九三万二、八〇〇円であるのに、同社の期末の棚卸商品を公表帳簿から除外し、売上金の除外及び次期事業年度分として計上すべき仕入金額を当期事業年度一〇月分の仕入金額に仮装して公表帳簿に計上するなどの不正手段により、その所得の一部を秘匿したうえ、同四八年一二月三〇日、徳山市今宿町二丁目三五番地徳山税務署において、同税務署長に対し、課税標準額が四、八三二万九、四二二円で、これに対する法人税額は、一、五三五万八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税額三、二五八万二、〇〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人金井一成の検察官に対する供述調書三通

一、被告人金井一成の収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書五通

一、被告人金井一成作成の上申書六通

一、金井義光の検察官に対する供述調書二通

一、金井義光の収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書

一、金井貞子の検察官に対する供述調書

一、金井貞子の収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書三通

一、金井貞子作成の上申書二通

一、徳山光男の検察官に対する供述調書

一、徳山光男の収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書

一、金轍相の検察官に対する供述調書

一、金轍相の収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書

一、小出博司の検察官に対する供述調書

一、田所商事株式会社光支店長小出博司作成の答申書二通

一、井口清の収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大倉商事株式会社大阪支店長竹中他慶太郎作成の証明書四通

一、免出勇壮作成の上申書

一、広島銀行下松支店、支店長代理逸見正作成の答申書

一、株式会社山口相互銀行櫛ケ浜支店長中原研也作成の答申書

一、徳山税務署長中川雅治作成の証明書

一、大蔵事務官光原博作成の調査事績報告書二通

一、大蔵事務官岩崎巌作成の調査事績報告書

一、登記簿謄本一通

一、仕入集計表一綴(昭和五〇年押第三九号の1)

一、仕入帳一冊(同号の2)

一、商品入荷明細(48.1.16~49.9.24)一綴(同号の3)

一、右同(48.9.25~49.3.18)一冊(同号の4)

一、在庫帳一綴(同号の5)

一、たな卸表一綴(同号の6)

一、たな卸資料一綴(同号の7)

一、作業票(48.9.15~48.9.30)一綴(同号の8)

一、右同(48.10.1~48.10.31)一綴(同号の9)

一、黒表紙手帳(広島相互銀行一九七二年)一冊(同号の10)

一、右同(広島相互銀行一九七三年)一冊(同号の11の1)

一、右同(小)一冊(同号の11の2)

一、法人税決議書一綴(同号の12)

(法令の適用)

被告人金井一成の判示所為は法人税法一五九条一項、刑法六〇条に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、諸般の情状を考慮し、刑法二五条一項により、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予し、被告人会社については代表者である代表取締役金井義光が被告人金井一成らと共謀のうえ、被告会社の業務に関して判示違反行為をしたものであるから、判示所為につき法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項により、その罰金額の範囲内で被告人会社を罰金六〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 野曾原秀尚)

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